※多分昭和45年頃

太宰治の生家跡である斜陽館を走る津軽鉄道は、鉄道ファンの間では「ストーブ」列車の方が有名。

いつものように周遊券で行き帰りの交通費を確保。今回は土日を使って3泊4日、そのうちいきと帰りは車中泊で2泊浮かせ、旅館には1泊の体力勝負の旅行。

いきで廃止されたばかりの花巻電鉄に立ち寄り、五所川原で1泊。早朝から津軽鉄道のホームに向かう。目的のストーブ列車は構内に止まっていた。通勤客の多いときに使われるだけ。冬ではないのでストーブは無かったが、座席を取り払ってストーブを置くスペースだけはあった。

ラッセル車や、西武鉄道のモハ550型電車払い下げの客車、国鉄ガソリンカーの払い下げキハ2403が構内に止まっている。機関庫は模型化に格好のスタイル。通常の運行は国鉄と同規格のディーゼルカーの単行か、それに西武鉄道電車改造の客車。

斜陽館へは行かずに五能線に乗る。蒸気機関車8620型、通称ハチロクの引く貨車と客車の混合列車の発車が迫っているため。五能線は海岸線をギリギリに走る。大きな波で蒸気機関車が海に落ちたことがあるほど。深浦あたりの岩肌は黄色がかっていて、草木が少なく、西部劇のシーンを連想させる。

外国語かと思える津軽弁が行き交う車内で、津軽凧の名人に凧を作ってもらうために来たという人に会う。この人は標準語。途中駅で貨車の入れ替えを行っている様子を撮影していたら知らないうちに発車していた。凧名人を訪ねた人に声をかけてもらって気付いた。

弘前から国電・大手私鉄電車の宝庫、弘南鉄道に乗車。東急の電車が多い。学校帰りの学生で車内はにぎやか。黒石で降り、すぐそばの黒石線に乗る。ちょうど環状線のような感じで戻る。(現在黒石線は弘南電鉄になって、本当に環状線のようになった!!)

時間があれば青函連絡船で函館まで渡ろうと思ったが、片道4時間もかかるので断念。もっと近いと思っていた。時間が余ったので、青森駅で凧名人を訪ねた人のことを思い出し、おみやげに凧絵を買う。津軽名物、ねぶたまつりのような武者絵が多い。まだ余裕があるのでパチンコ屋で時間をつぶす。普段は出ないのに、旅の途中でやるとだいたい出る!!。

周遊券なので寝台に乗ると別料金になるので、2両しかない座席車で寝て帰る。朝着けば会社に直行の予定。


金はないのに、気力と体力は充分あった頃。