ダージリン鉄道の客車に書かれていたマーク

 


インドのダージリン・ヒマラヤン鉄道には1978年の12月から1月にかけてと、1980年5月と2回いきました。ダージリンを知ったキッカケは「鉄道賛歌」でした。阿里山と同じですね。鉄道賛歌に影響された人は随分いるんじゃないかと思います。これを読んで、ヒマラヤをバックに走る姿を、有名な続行運転を、バタシャループを、スイッチバックを実際に見て、作ってみたいと思ったのです。行くのは実現したが、作るほうは未だに実現していません。

2回行ったのにはわけがあって、初めていったとき、ダージリン鉄道はストライキで動いていなかったのです。一緒に行った人たちは動いていないのならと、ブロードゲージ、メーターゲージ、ダージリンとジャンクション駅になっているニュージャルパグリまで降りていきましたが、私はダージリンだけが目的で来たので、動いていないダージリン鉄道のあちこちとバザールを見てまわっていました。デリーでも大きな蒸機には興味がなく、機関区に行かずにタージマハールに行きました。とにかくダージリンだったのです。


ストの赤旗がかかった蒸機機関車、ある意味では珍しい写真
ティンダリアの機関庫の動かない蒸機機関車の前では、子供たちが遊んでいました。そしてカンチェンジュンガの山々の奇麗な姿を見ることができました。冬は良く見えるのです。次に行ったときは5月だったので、ほとんど見ることができませんでした。

スト中の蒸機機関車の前で遊ぶ子供たち。走ってないから安全?

ちょうど正月にいったのでダージリンの正月風景を見ることができました。初日の出を見るための、ランドローバーが出るというので乗りました。一台ではなく、ゾロゾロあっちこっちから車が出て来る。国は違っても初日の出は見に行くものなのだろう。走ると息が切れるほどの高地のうえ、回りは暗く寒い。インド、イコール熱い国の印象があったので、荷物を減らすためセーターなどは持ってこなかった。

かなりの人数が日の出を待っている。雪を1年中いただくヒマラヤはダージリンの西になるので、太陽は雪のない普通の山から昇る。初日の出だ。日本で見る日の出と同じだ。(あたり前か!)もっと哲学的な、神秘的なものを期待したんだけど。陽が昇るとザワザワしてくるのも、感嘆の声をあげるのも日本と同じだ。ダージリンの町に帰ると、スピーカーから音楽が流れて、中国に近いせいか爆竹が鳴っているいる。それもあちこちから。

車にはモールとか、神様の絵とか、とにかく飾りつけてある。そしてトラックの荷台に若い男女がいっぱい乗ってニコニコしている。ジープにもすごい人が乗っている。スピーカーの音楽はこの車から流れていたのだった。こうしてダージリンでは正月を祝うのだとホテルで聞いた。一日中車のスピーカーの音楽(シタールとかタブラとか入ったテンポのある歌の入ったのが大い)は町に流れていた。子供たちは箱を持って歩いて、大人と見るとお年玉をねだっていた。


スト中のダージリン駅横でのお正月風景

ダージリンといえば紅茶の産地です。日本では紅茶と言えばティーバッグと思っていてコーヒーばかり飲んでいたが、ダージリンの紅茶直売所で最高級を飲ましてもらってからは、紅茶のうまさを知りました。木で造った小屋でドラム缶で沸かしたインド式ティー(水を使わずにやぎの乳だけで入れる)の味も格別で、帰ってから同じように入れても、その味は出ませんでした。本当に汚れて欠けた器で出してくれるのに、味だけは良かった……。


紅茶直売所から見たダージリンの商店。
紅茶にも1stティー、2ndティー、3rdティーがあることを初めて知った。

ダージリンはチベットに近いので日本人に似ている顔が多い。食べ物も「焼きそば」に似たもの、「ぎょうざ」や「肉まん」に似たものもあります。日本で言えば「ゆでぎょうざ」を『モモ』と言い、語呂の良さもあって、すっかり気にいりました。酒呑みにはインドはつらい国で、ヒンズー教徒はアルコールを口にしません。外人向けのホテルでは売っていますが、外に出たらまずダメ!と思ったほうがいいです。ダージリンでもBARと書いた店へ入ると喫茶店ですね。

 
紅茶直売では最高級の紅茶を買った。荷物になるので送ってもらう。
その荷物に貼ってあった切手。やっぱりガンジー。

ダージリンのホテルのすぐ上に寺院がありました。その途中、腕や足がなかったり、身体の不自由な人がずらっと両側に並んでいて手を出していました。ひとりにやると全員にやるようになるから絶対にあげないようにとホテルで言われていたので、無視して寺院に行きました。寺院には経文が掛かっていましたが、私には赤ん坊のおしめが干してあるように見えました。


左:チベット仏教寺院?
     右:ホテルの上の寺院
                  

ダージリンを少し下ったところにチベット仏教のような寺院があって、お百度参り用の数をかぞえるソロバンのようなものがあったり、大きなトランペットのようなもので演奏したりしていました。