ダージリン鉄道の名所のひとつバタシャループ
これは2列車の続行運転。
右へ行くとダージリン。運が良ければカンチェンジュンガの山々が見える。

バタシャループ/その1   バタシャループ/その2

 

インドのネパール国境とブータンの近く、レールの幅は2フィートだから610ミリ、明延鉱山太平洋炭坑と同じで鉱山や工事線に多い軌間ですね。ほとんど道路に沿って走っていたので、車で追いかけるのに最適で線路は右に左に移動します。

古いものは1892年製造のB形サドルボトム蒸気機関車が、そのままの姿で走っていたシーラカンスのような鉄道でした。始発のニュージャルパグリ駅からは箱根登山の小田原〜箱根湯本間と同じ3線式、ブーゲンビリアの咲く熱帯から終着ダージリンは夏でも涼しい紅茶畑が広がる避暑地、現地の看板にもトイトレイン(これぐらいの英語なら私でもわかる)と書いてあるような楽しい鉄道です。

蒸機はまずフロントデッキに2人が乗り、坂になるとレールに手で砂を撒く仕事をします。車体の上には大きな石炭を割る人、キャブには機関手と機関助手、そしてカマ炊きと6人1チームで機関車を動かすのです。


ダージリンで撮った写真の中で、私が最も気に入っているカット

蒸機が引く客車は急坂のため4両が限度。乗客が多いと、もう1編成蒸機と客車を用意します。もっと多いともう1列車。これを続行運転といい、10m前後の間隔をとって走ります。登坂では多いときは4本白煙が上るわけです。列車は平行して走るバスやトラックに次々に抜かれ、子供たちがぶらさがって降り、駆け足で追いついてまたぶらさがるというくらいの速度です。トンネルがないので乗客は屋根の上にも乗ります。


列車にぶら下がり、また走ってぶら下がって遊ぶこどもたち。
そのくらいスピードは遅い。


ダージリンの発車/その1   ダージリンの発車/その2


屋根の上にも自由に乗ることができる。
トンネルの全くないダージリン鉄道なら安心。

ボイラーの横に積んである木の棒は、脱線したときの復旧用です。機関車が不調で列車が止ってしまい、機関手が道具箱を持って降り、クランクなどの部品を取りはずしてレールを枕にトンカン直して、またはめて走りだした光景を実際に私も見たことがありました。

グゥーム駅近くは最も高い所を走るので、濃霧に覆われると真っ白の世界になり、ドラフト音は聞こえるが姿は見えないという状態になります。そして突然蒸機が目の前に現れてきます。キャブはオープンなのでバック運転のときは吹きさらしになり、厚い布に小さな窓を開けたカーテンを下ろして走ります。


霧の中のグゥーム駅。
車もライトを点けて走るほど濃い霧が出る。

数年前にテレビでネパールの寺院のことと、ダージリンの紅茶畑云々と新聞のテレビ欄に出ていたので楽しみに見ました。ところが放送でダージリンのレールは出てきたけれど、肝心のトイトレインと現地で呼ばれている蒸機機関車は出てこない。ナレーションでチョット前に廃止されたと言われてガッカリ。もう一度機会があれば行きたかったのです。バスに比べて人手がかかり、時間もかかる。廃止されてしかたがありませんね。いろいろ撮影旅行をしましたが最も記憶に残るのは「ダージリン鉄道」と言えます。

ダージリン鉄道は動いている!!
最近現地へ行った人からの報告です。

 
 
 

今回、私のホームページ開設にあたり、ページのタイトルを何にしようか頭をひねりました。結局、私が撮影旅行した中で最も楽しく、印象に残ったダージリン鉄道の別名であるトイトレンをページタイトルにすることにしたわけです。