600系は西武・阪急などでも見ることのできた川崎造船所兵庫工場製(現川崎重工業)の全鋼車。昭和2年に4両購入。屋根は深く、リベットでいっぱいの独特のスタイル。パンタグラフはWH(ウエスチングハウス)系の大きなもの。台車はBW−A形(ボールドウィンタイプ)で床下にトラス棒付き。ベンチレターはおわん形。HL制御車がほとんどの「ながでん」では530形とともに少数派のHB制御車。製造当初は正面の雪を払いのける装置として窓の上方の小さなパイプから空気を吹き出すようになっていたが取り外されたらしい。また、モハ603・604は山の内線折り返し運転定期化と同時にこの勾配区間用となったため、車輪冷却用の水槽を屋上に乗せていたが、これも外されているらしい。その当時の写真を見たことがないのでわからないが、箱根登山鉄道のようなものだったのだろうか?。
昭和28年の形式見直しでモハ600系に、モハ601・602は踏切事故で前面を大破したので片方の運転室は乗務員扉付きに、開放式運転台から密閉運転台、前面はHゴム固定に改造されて、モハ611・612に形式を変更。600系の台車は昭和41年、D−16(又はUD−26)に全車履き代えられている。
モハ604は上田交通に譲渡され、廃車になったあと長野電鉄に戻り小布施の「ながでん電車の広場」に製造当時のデハ354の姿で展示保存されている。保存中のモハ604の台車は上田交通時代、東急3450形の川崎3450台車に履き替えられたもの。(結果的にはオリジナルに近い?)
モハ611も上田へ譲渡されたが、竣工はしていません。
西武鉄道の川崎造船所兵庫工場製車両は津軽鉄道に譲渡され、客車ナハフ1202・1203として長く活躍した。 |